やりがいはある、キツイこともある。 施工管理職のリアルを知ろう /10代のみんなへ伝えたい、空間づくりの仕事 Vol.7
文:吉岡奈穂 編集:丹青ヒューマネット
公開日:2021/7/27
10代のみんなへ伝えたい、空間づくりの仕事
丹青ヒューマネットは、空間づくりにかかわる「施工管理」「デザイン」「オフィスワーク」の業務を中心に活躍している方が多く就業しています。
今回はその中で、空間づくり全体を統制し、具現化する「施工管理」に着目。
以前、空間づくりに興味を持っている方たちに向けて、実際に働く人のリアルな声を紹介したところ、聞けてよかったという反響を多くいただいたので、コラムでもピックアップしました。この業界で働いてみたいと思っているみなさんの参考になれば幸いです。
回答をくれた方たちについて
Q施工管理職とはどんな仕事ですか?
——空間づくりのテクニカルマネジメントをする仕事
安全・工程・品質・予算の四要素を踏まえて、デザインの意図やお客さまの意向に沿って、ひとつひとつ異なるデザインを具現化する仕事です。そのために高い制作力、技術力を磨き続け、空間づくりのテクニカルマネジメントを行なっています。
施工管理職のミッションは、空間づくりの提案内容について、法令対応、環境対策にも配慮しつつ、施工の視点からデザインの実現性を検証していくことです。具体的には事前の現場調査、図面確認、マテリアルや工法などの検討、費用の積算を行っています。
工事にあたっては工程や予算、品質、安全面の管理に加え、映像や音響、照明といった空間演出のコーディネートのディレクションなども担います。
Q施工管理職を選んだ理由は何でしょうか?
——もの作りが好きな人が集まっている
この職種を選んだきっかけは、建築、内装、デザインの分野に興味があったからという人が多いです。そして手を動かして何かを作るのが好きな人たちが集まっています。
特に「空間」という大きなものは一人では作れないので、図面を読み取り、計画を立て、みんなで協力して、実際に完成させたときの達成感はひとしお。「目に見えるかたちとして仕事の成果を残せるのが魅力」という声が多く寄せられました。また、国を代表する大規模イベントなど具体的なプロジェクトに関わることを目標として施工管理職を選ばれた方もいます。
デスクワークだけでは完結できず、現場で直接見て学ぶことができる働き方には日々発見があり、自分自身の成長につながります。
Q仕事を通して成長したと思うことはありますか?
——NO.1はコミュニケーション力の向上
直接的にあるいは間接的に、数十人数百人が関わっていく仕事なので、日々の業務を通してコミュニケーション力は必然的に上がるとのこと。年齢、業種や職種など、自分とは異なる相手の立場を考えながら物事を進めることができるようになります。
工期も長期間にわたるため、全体を見通して計画的に対応していく力もつきます。ある程度の経験年数を積み、任される範囲が大きくなる時期も成長のチャンス。
初めてのことに遭遇したり、新しい試みをしたり、突発的に起きてくるトラブルにも適切に対処したりと、常に自分で状況を理解して判断することを通して、課題解決力などさまざまな力が鍛えられます。
Q仕事で大変なことはありますか?
——工期と予算が決まっている中で、すべてを滞りなく進める大変さ
工期と予算が決まっている中で、たくさんの人たちの意向を取りまとめながら完成に導く大変さがあります。
予定通りに物事が進まないこともありますし、納期まではプレッシャーを感じるとのこと。経験年数も知識も技術もバラバラのスタッフが働いている現場では、勘違いや思い違いが起きることもあります。
リモートワークでは対応できない業務が多く、現場が遠いときは朝が早くて夜が遅くなったり、拘束時間が長い時期があったり、生活リズムを一定にできないことがあるのも事実。
大変なときや困ったとき、わからないことがあったときは自分で調べるだけでなく、一人で悩まずに周りの人に聞くことがポジティブに働き続けるポイントだそうです。
Qこの仕事のやりがいは何でしょうか?
——お客さまが喜んでくれることに尽きる。
何もないスケルトンの状態から、パース通りの建物ができあがる過程も面白いし、完成した際には大きな達成感がある。でも何よりも「クライアントが喜んでくれること、さらにはその空間に訪れた方たちが楽しく過ごしてくれることが最高にうれしい」。
仕事のやりがいについては、施工管理職のほぼ全員が同じ回答を挙げました。そのほかには、場数を踏むだけ着実に経験を活かせること、新しいアイデアを考えられること、工夫によって工期を短縮できることなど、具体的なものも。
社内外問わず多くの人を巻き込んで仕事ができるので、いろんな人と会話ができるし、常に新しい発見がある。やりがいは大いにある仕事です。
Q施工管理職に興味がある方にメッセージをお願いします。
——学ぶ姿勢、積極性、もの作りへの情熱、思いやり
現場から届いた率直なメッセージ、ぜひ参考にしてみてください。
「最初は大変でも必ず面白い部分を見つけ出せます。とにもかくにも学ぶ姿勢が大事です。わからないことがあれば周りの人たちにどんどん聞いて、自分のものにしていきましょう。聞くはいっときの恥ですらありません」
「積極的にいきましょう。どんなもの、どんなことにも興味を持って、自分からどんどん入っていくこと。常に指示を待っているだけではなく、自分で試行錯誤して動いてみてください。もし失敗してもまた違う方法を試せばいいだけ。軌道修正する道は必ずあるのでチャレンジしてください。これだけは誰にも負けないという特技を持てれば強いです」
「もの作りが好きであることが大前提で、そうでなければ続けるのは難しいと思います。正直ラクな業界ではないですが、そのぶん完成したときの達成感や満足感、感動は強くあります。ちなみにノッてるとき、パワー不足のときなど、自分の内面や気分がそのときの内装に現れたりもします。自分の作品を残すという気概を持って楽しんでください」
「この仕事は一人では成し遂げられません。なので相手の気持ちになって考えること、思いやりを決して忘れないでください。職人のみなさん、各種業者の方々、先輩や同僚、後輩などたくさん集まる現場では、いろいろな人と触れ合えて多様な価値観に巡り合うことができます。世界が広がります」
1・2級建築施工管理技士、1・2級建築士を取得する人が多くいます。 どれも国家資格で、丹青ヒューマネットではこれらの資格取得を支援する制度があります。
——編集後記
私のキャリアは制作管理の仕事からスタートしました。右も左も解らない中スタートし、思い描いていた仕事の内容と合っているかもわかっていない状況下、同僚や職人さんたちに囲まれ、夢中になっていたら、現場引き渡しの日を迎えるそのような感覚でした。
皆さんがコメントに書いてありますが、多様な価値観を一つのゴールに向かって力を結集する、それが苦労でもあり醍醐味なのかもしれません。関わった人にしか解らないその悩みや喜びこそが、人を成長させる糧になると思います。
空間づくりの大変さも面白さも味わいながら、NEW制作管理を若い人には作っていって欲しいと思います。
株式会社丹青ヒューマネット
石畑 和恵
株式会社丹青ヒューマネットは、「働く人を応援し、幸せになる」をミッションとし、建築・インテイリア業界へ人材を輩出しています。人材のことで課題をお持ちの企業様、新しい働き方をお探しの方はこちらへご連絡ください。