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障がい者と企業をつなぎ、幸福な働き方を実現したい。丹青ヒューマネットが新たに取り組む、障がい者就労支援とファシリテーター業務

 丹青ヒューマネットの藤本千春と永田博美

取材・文:堀合俊博 写真:寺島由里佳 編集:丹青ヒューマネット
公開日:2024/3/15

2020年3月より、丹青ヒューマネットでは人材派遣会社として障がい者雇用の推進に取り組むべく、新たな活動を開始しました。

職場適応援助者(以下、ジョブコーチ)を中心とした障がい者の就労支援および、障がい者スポーツの体験機会をサポートする「ファシリテーター業務」を通して、私たちは空間デザイン・ディスプレイ業界における障がい者雇用率の向上に貢献していきたいと考えています。

丹青ヒューマネットの藤本千春と永田博美の二人が、これらの取り組みにかける思いを語りました。

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障がいのある求職者と企業をつなげる人材派遣の可能性

——藤本さんが障がい者支援に関心を持ったきっかけを教えてください。

藤本:
私自身、身体障がいを持っているのですが、それが障がい者支援に関心を持った直接の理由ではなく、もともと「キッズブーケプロジェクト」という一般社団法人での活動を通して、障がい者スポーツと関わるようになったのが最初のきっかけです。

キッズブーケプロジェクトでは、スポーツ選手や文化芸術家にお花のブーケを贈る活動をしています。
活動をスタートした2013年は、東京五輪の招致活動がおこなわれていた時期で、選手たちにブーケを届ける機会を子どもたちのためにつくることができたらどんなに素敵だろうという思いが、設立の背景にありました。

>“キッズブーケプロジェクト”の詳細はこちら

 

キッズブーケプロジェクトの活動の様子 @秩父宮みなとラグビーまつり

キッズブーケプロジェクトの活動の様子 @秩父宮みなとラグビーまつり


私はフラワーアレンジメントの先生をしているのですが、生徒さんの中には、中学受験に備えるために教室を辞めなくてはならない子が少なからずいます。「塾のテストの点数が悪かったから、今日で辞めなくちゃいけないんです」と、泣きながら言ってくる子を見ながら、このくらいの歳にやりたいことを辞めてしまうのはもったいないなと。
私も二人の息子を育てたので、子どもたちのことを思う母親の気持ちもわかり、もどかしい気持ちを抱えていました。

そんな時、ロンドン五輪の表彰式で、日本人の選手たちが「両親と周りの人の支えがあったからこそ、ここまで来ることができました」と話しているのを聞いて、本当にその通りだなと思ったんです。誰もひとりでは頑張れないですし、周囲の身近な大人や、人生の中で出会った人たちからの支えが誰にとっても必要です。
キッズブーケプロジェクトでは、親子で楽しめるイベントとなることを大切にしながら、子どもたちがキラキラした大人に会いにいける機会をつくり、子どもたちがもっとキラキラできるように、さらにそれを見た親御さんが、子どもたちが好きになれることを見つけてあげたくなるように、現在も活動を続けています。

丹青ヒューマネット DE&I 藤本千春

丹青ヒューマネット DE&I 藤本千春

——キッズブーケプロジェクトには、どのような子どもたちが参加しているのでしょうか?

藤本:
障がいの有無に関わらず、子どもたちなら誰でも参加いただけます。ただ、障がいのある子どもたちが参加しやすい運営を心がけるようになったのには、あるきっかけがあったんです。

東京五輪の予選過程で、参加の申し込みが殺到した時があったのですが、あるお母さんから「うちの子どもには障がいがあるのですが、参加できるのでしょうか?」と問い合わせがあったんです。
私としては「もちろんです!」という気持ちだったのですが、その時にこれまできちんと発信をしてこなかったことに気がつきました。

ずっと障がい者スポーツの選手たちを応援していたのに、子どもたちの方にちゃんと目を向けることができていなかったんだなと、発信することの必要性を痛感しました。

——現在藤本さんは、丹青ヒューマネットにて障がい者の就労支援に取り組まれています。障がい者スポーツを応援するキッズブーケプロジェクトの活動から、障がい者の就労支援に取り組みたいと考えるようになった理由を教えてください。

藤本:
フラワーアレンジメントの生徒の中に、聴覚障がいのある女性がいて、ある日障がい者技能競技大会(以下、アビリンピック)を教えてくれたことがきっかけでした。
パソコン操作や製品パッキング、喫茶サービス、写真など、さまざまな競技課題があるのですが、アビリンピックで活躍している方に、子どもたちが教わる機会をつくれないだろうかと考え、事務局に電話してみたんです。
後日、その機会は実現したのですが、別件で東京アビリンピックのフラワーアレンジメント部門の立ち上げを依頼され、引き受けることになりました。

優勝者を決める審査員の役割を務める中、ある日全国大会で優勝した方々にヒアリングしたところ、実際にお花の仕事に就くことができていない事実を知りました。そんな現状に課題を感じ、農家や市場、花屋など、お花業界で障がい者雇用ができないのかを聞いて回りました。

そこでよく耳にしたのは、「どんな人を雇ったらいいのかがわからない」「雇ったとしても辞めてしまう方が多い」というお話でした。それなら、派遣社員としてまずは仕事を経験してもらい、お互い問題がないようだったら就職につなげるような取り組みができないかなと考えたんです。
その後、丹青ヒューマネットの石畑社長(当時)に障がい者の派遣事業について相談したことがきっかけとなり、入社することになりました。現在は社内のDE&I*の推進を担当しています。

*DE&I…ダイバーシティ(Diversity=多様性)、エクイティ(Equity=公平/公正性)、インクルージョン(Inclusion=包摂性)の略

雇用者と求職者の間に立つ、ジョブコーチの役割

——藤本さんが入社される以前、丹青ヒューマネットでの障がい者雇用への取り組みの状況はいかがでしたか?

永田:
実は丹青ヒューマネットでは、それまで障がい者の法定雇用率がゼロだったので、ずっとなんとかしたいと思っていたんです。
そんな中、藤本さん自身が障がいをお持ちで、障がい者雇用の推進に力を貸していただけるとのことだったので、ぜひお願いしたいと思い入社いただきました。

丹青ヒューマネット 管理部長 永田博美

丹青ヒューマネット 管理部長 永田博美

——障がい者雇用の推進において、どのようなことが課題になっていたのでしょうか?

永田:
私たち丹青ヒューマネットは、空間デザイン・ディスプレイ業界に特化した派遣事業を展開しているので、派遣先では現場仕事が多く、障がいのある方の就労は難しいんじゃないかという考えが多いのは事実だと思います。
社員としての採用はあったとしても、派遣の場合はなかなか受け入れが難しい状況がまだあります。

ですが、厚生労働省が展開しているジョブコーチに藤本さんが認定されたことをきっかけに、派遣先の企業から障がい者雇用に関するご相談をいただくようになりました。さらに、同じタイミングで障がいを持った方からの応募があり、雇用につなげることができました。
もし以前のままだったら、障がい者雇用へのハードルを感じてしまい、せっかくの応募にもお応えできなかったかもしれませんが、藤本さんがいたからこそ安心して進めることができたと思います。

——ジョブコーチの役割について教えてください。

藤本:
ジョブコーチは、障がいのある社員と企業の間に入り、お互いの状況をヒアリングしながら、適切な働き方を実現するための関係性をつくる役割を果たします。
私が丹青ヒューマネットに入社したのが2020年3月ごろで、ちょうどコロナ禍になったことでリモートワークとなり、こういう時期だからこそなにか学びたいなと、永田さんに相談して講習を受けさせてもらうことにしました。

ジョブコーチは、就職面談への同席から、当事者と上司の方との間に入りながら就業開始後のサポートを務めます。
場合によってはご家族も入れて三者でやり取りをすることもありますね。みんなで協力体制をつくることがとても大事なので、正しい状況がわかるようにお話を聞いています。

永田:
私たちもジョブコーチの現場には同席しているので、とても勉強になっています。

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障がい者理解を促進する「ファシリテーター業務」

——さらに丹青ヒューマネットでは、新たに障がい者支援の一貫としてファシリテーター業務をスタートしました。どのような取り組みなのでしょうか?

藤本:
障がい者スポーツの協会が主催しているスポーツ体験の授業に合わせて、丹青ヒューマネットが業務委託として登録ファシリテーターをアサインしています。
ファシリテーターは、視覚障がいのある選手と駅で待ち合わせをし、学校までの道のりの誘導と、スポーツ体験の授業の進行役を務めます。
ファシリテーターになる方には研修を受けてもらい、障がいのことをきちんと理解してから実務に取り組んでもらっています。多様性理解や福祉について学んでいる首都圏の学校へ伺うことが多いですね。

——これまでとは異なる業務をスタートさせるために、どのような準備を進めましたか?

永田:
これまでの人材派遣業務とはまったく異なるので、まずは本部のスタッフに理解してもらおうと、みんなで研修を受けることからはじめました。結果的に、企業として多様性に向き合う機会にできたのではないかと思います。
現在、本部のスタッフもファシリテーター業務に携われないだろうかと、いろいろと体制を整えているところです。

得意なことを仕事につなげられる社会の実現に向けて

——ジョブコーチの仕事の実践を通して感じている、障がい者雇用の推進のために必要な視点はありますか?

藤本:
障がいについて、配慮を必要とする場合はきちんと周囲に伝えること、そして受け取った人はできる範囲で配慮を心がけ、お互いにすり合わせをしていくことが必要だと思います。
たとえば、識字障がいがある方の場合、動画マニュアルをつくるだけで問題なく仕事ができるようになるので、ジョブコーチの立場から、職場の方に動画の撮影をお願いすることがあります。
そうやって個人の特性に合わせて働き方を一緒に考えていくことが大事で、就労支援のための特別な知識があってこその活動というより、それぞれの状況に合わせて判断していく姿勢が重要なのではないかと感じます。

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——最後に、これまでの活動を振り返って、今後取り組んでいきたいことへの思いをお聞かせください。

永田:
藤本さんとの活動を通して、雇用する側が一方的にハードルをつくってしまっていることに気がつきました。たとえば、藤本さんの身体障がいは靴を変えるだけで問題を取り除くことができますし、昨年視覚障がいのある学生をインターンシップとして受け入れた際には、画面の文字を読み上げるソフトウェアを使えば、問題なく事務作業が行えることを知りました。
これらは実際に一緒に仕事をすることでしか学べなかったことだと思いますし、この経験をもっと広げていきたいと思っています。

今後は法定雇用率の達成を目指すことはもちろん、障がい者が働くことができる環境づくりのために、派遣先の企業との調整に取り組んでいくつもりです。私たちが目指しているのは、障がい者と一緒に働くことができる職場、そして社会の実現なので、これからも活動を続けていきたいと考えています。

藤本:
私は常々、障がいの種類で仕事が決まることが多く、障がい者の仕事のイメージが社会の中で固定してしまっているのを感じます。
障がい者の中には、高い集中力を持続することができたり、細かい作業やデザインを考えるのが誰よりも得意だったりと、個人によってさまざまな能力のある方がいます。アビリンピックで活躍されている方の中には、そのまま職人になれるような人がたくさんいらっしゃいますし、「障がい者雇用」として考えるのではなく、得意なことを仕事につなげるための支援として取り組む必要性を感じます。

それに、得意なことを見つけ、それを伸ばしていける社会を目指していくのは、障がいの有無に関わらず、幸せな働き方の実現につながるのではないかと思うんです。現在日本は、障がい者雇用推進の過渡期にあるかもしれませんが、丹青ヒューマネットでは常にアンテナを高く掲げ、雇用促進に力を注いでいきたいです。

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