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就労経験を積み、就職活動の自信につなげてほしい。はじめての障がい者インターンシップの受け入れを振り返って

左:安部さん 右:永田

文・編集・取材:丹青ヒューマネット
公開日:2024/3/28

2021年より、丹青ヒューマネットにとってはじめての長期インターンシップ生として、視覚障がいを持つ安部遥さんを受け入れました。2024年の春に立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科を卒業予定の安倍さんは、障がいのある子どもたちと保護者が将来について考える機会をつくる「私らしい仕事発見プロジェクト」を推進されており、安倍さんのインターンシップ受け入れをきっかけに、丹青ヒューマネットはこのプロジェクトにサポーターとして参加しています。障がい者のインターンシップや就職活動、さらに将来の選択肢を広げるために企業ができることについて、丹青ヒューマネット管理部長の永田博美が安倍さんと語り合いました。

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障がいについて理解し、具体的な仕事を切り出していく

——丹青ヒューマネットのインターンシップに応募されたきっかけを教えてください。

安倍
大学1年生の頃から、丹青ヒューマネットの藤本さんが運営する一般社団法人「キッズブーケプロジェクト」にボランティアとして参加していて、藤本さんにインターンシップの相談をさせていただいたことがきっかけでした。

 

——もともとボランティアには興味があったんですか?

安倍
そうですね。以前から、大学生になったらボランティアをしてみたいなと思っていたので、母のつながりでこのプロジェクトを紹介してもらったんです。キッズブーケプロジェクトでは、スポーツ選手や文化芸術家を応援するために、子どもたちがつくったブーケを贈る活動をしていて、私はチラシの準備やメール対応などの事務作業を担当しています。

安倍遥さん

安倍遥さん

 

——ちなみに、障がいのある大学生がインターンシップに申し込める機会や、大学で実施している取り組みなどはあるのでしょうか?

安倍
あまり聞いたことがないですね。障がいがあるとアルバイトをするのも難しいですし、インターンシップに応募するためには、自分で企業に交渉しなくてはいけないハードルがあります。私が経験させていただいたように、長期のインターンシップの機会はなかなかないのが現状だと思います。

 

——永田さんは、安倍さんからインターンシップの希望を聞いた際にどのように感じましたか?

永田
実を言うと、当初はどうやって安倍さんにインターンシップの業務をお願いしたらいいのかのイメージがついておらず、戸惑った部分もありました。ちょうど新型コロナウイルスが流行っていた時期で、テレワーク中心の働き方に切り替えたばかりだったので、オフィスに集まって仕事をするのも難しく、どうしようかなと。

 

——その後、具体的な業務内容はどのように決めたのでしょうか?

永田
まずは本部のスタッフに安倍さんのことを紹介してから、どんなふうに日常生活を送っているのかをお話しいただき、スタッフ一人ひとりに理解を深めてもらうことからはじめました。業務をお願いするにあたっては、普段安倍さんが使用している、パソコンの画面を音声で読み上げるスクリーンリーダーについてご説明いただいてから、具体的にどの業務をお願いできるのか、本部のスタッフに切り出してもらったんです。結果、リサーチした情報を資料にまとめる業務をお願いすることにしました。

丹青ヒューマネット 管理部長 永田博美

丹青ヒューマネット 管理部長 永田博美

安倍
スクリーンリーダーを使えば、パソコンの画面をすべて読み上げてくれるので、それを聞きながらインターネットやワードなどを使った作業は問題なく行えます。

 

——学業や仕事に必要なパソコンのスキルはどのように身につけられたんですか?

安倍
高校の頃に通っていた、特別支援学校で教わりました。私は生まれつき目の病気で、中学校までは周り子たちと同じように生活していたんですが、中学の後半からかなり視力が落ちてしまったので、高校から特別支援学校に入り、そこでタイピングやパソコンの使い方を身につけました。ワードやパワーポイントについては、視覚障がいがある人たち向けのパソコン教室で教えてもらい、普段大学でも使用しています。

実は今回のインターンシップまでエクセルを使ったことがなかったので、操作の仕方を覚えたり、どうすれば見やすい資料になるのかを調べたりしながら作業をすることができ、とても勉強になりました。

永田
え、はじめてだったんですね!いま知ってびっくりしました。

 

誇りを持って働く障がい者に会いに行くプロジェクト

——安倍さんのインターンシップをきっかけに、丹青ヒューマネットでは「私らしい仕事発見プロジェクト」のサポートをスタートしました。安倍さんの発案ではじまったプロジェクトとのことですが、どのような思いで企画されたのかをお聞かせください。

安倍
「私らしい仕事発見プロジェクト」は、キッズブーケプロジェクト内の企画のひとつとして立ち上げました。障がいのある子どもたちの夢を応援したいという気持ちと、子どもたちとご家族の将来の選択肢を広げたいという思いから、障がい者雇用を推進している企業や団体へ見学にうかがい、障がいのある社員の方とお話をさせていただいたり、ワークショップ体験をさせていただいたりできる場を企画しています。

安倍遥さん

こういった取り組みをしたいと思った理由としては、私自身の経験が大きいです。特別支援学校に通っていた高校生の頃、社会人の卒業生にお話を聞く機会があったのですが、私から見ればなんでもできるような優秀な先輩なのに、就職活動の際には100社ほど受けなければならなかったみたいで、やっぱり大変なんだなと感じたんです。それに、私自身将来どんなふうに働くことができるのかイメージができなかったので、小学生や中学生の頃に、障がいを持つ方々が実際に仕事をしている職場を見学することができれば、将来のビジョンを見つけやすくなるんじゃないかなと思ったことが、立ち上げの背景にありました。

 

——プロジェクトを通して印象的だったことはありますか?

安倍
2023年の夏に、大手企業のグループ会社として障がい者雇用を推進している6社の特例子会社へ見学に行かせていただいたのですが、お仕事をされている方の姿がとても格好良かったのがなにより印象的でした。子どもたちにとっては、憧れの存在として感じられるのではないかと思います。保護者の方にとっても、こんな働き方があるんだということを知るきっかけになりますし、自分の仕事に誇りを持って働いている方々の姿を見ることで、自分の子どもに障がいがあることを、受け入れやすくなるんじゃないかと思います。

 

——プロジェクトに参加された方からはどのような感想を伝えられることが多いですか?

安倍
参加した子どもたちは、みんな純粋に楽しんでもらえているようでうれしいですし、プロジェクトで経験したことが記憶に残ってくれるといいなと思います。保護者の方からは、「将来の道筋ができました」といった声や、「一歩踏み出して、いろんなことを調べてみようと思います」といった言葉をいただいています。各回定員5名なのですが、あまりに応募が多くて毎回お断りしなくてはいけない状態で、当選を伝えるメールをお送りした際には、「こういった機会は本当にないのでありがたいです」とご返信をいただくことが多いです。

永田
当社は、このプロジェクトのパートナーとして、協賛金の支援をはじめ、報告会やワークショップに参加させていただいています。私も昨年の夏、ワークショップに参加させていただいたのですが、障がいを持っている児童とお母さんが一緒に参加しているのを見て、お子さんの将来に不安を抱えてらっしゃる方が多いことにあらためて気づかされました。同時に、親御さんがお子さんを手離せない気持ちになってしまうこともあるのかなと感じました。安倍さんは学生時代から一人暮らしをはじめているので、とても自立されているのを感じますし、障がいのあるお子さん自身が自立できることは、就労支援においても大切なことだと思うので、当社としてもなにかサポートできることをこれから考えていきたいです。

永田

安倍
私の両親も、私の障がいや将来について思うところはあったと思いますが、過保護になることはなかったですね。どちらかというと、私自身が障がいを受け入れるのが大変でした。なので、親が子どもの障がいを受け入れた上で、子どもたちを見守ることができていないと、逆に子どもたちが無理してしまうことになるんじゃないかなと、自分の経験から思います。

 

インターンシップの経験を、就職活動の自信につなげるために

——安倍さんは春から社会人としての生活がスタートします。就職活動を振り返ってみていかがでしたか?

安倍
大変ではありましたが、関心のあった保険業界の会社で総合職として採用いただくことができました。障がい者枠だと契約社員が多く、正社員を希望するとなると一般枠で応募するしかないのですが、その際にはSPIの能力試験がハードルになってしまいます。SPIはスクリーンリーダーの読み上げに対応していないので、企業側に配慮いただく必要があり、その際に対応するのが難しいとご回答いただくこともありました。採用が決まった企業には、試験方法を調整いただき、無事に一般枠で受けることができたので、本当にありがたかったですね。

永田
試験方法がハードルになって採用できないのは、企業としてももったいないことだと思いますね。

 

——安倍さんのインターンシップ受け入れを振り返ってみていかがですか?

永田
障がいの有無に関わらず、当社としてはインターンシップの受け入れ自体がはじめての試みでしたが、とても学びの多い時間を過ごすことができました。多様な方を受け入れて一緒にお仕事していくことは、これから企業にとってとても大事な経験になるのではないかとあらためて感じています。

反省点としては、安倍さんは広報や発信などの業務が得意な方だと思うので、インターンシップ期間中にそういった得意なことが活かせる機会をつくることができたらもっとよかったなと思います。今回のことをきっかけに、本部スタッフの中でもインターンシップを受け入れるための考え方が浸透したので、今後は学生たちの特性を活かしたインターンシップの受け入れを実施していきたいと思います。障がいのある方が仕事の経験がないまま就職活動をするのはなかなかハードルがあると思いますし、インターンシップを受け入れる企業が増えていくためになにができるのかを考えていきたいです。

 

——最後に、安倍さんの今後の展望をお聞かせください。

安倍
インターンシップの期間中、いろいろな方とのメールのやり取りやミーティングに参加させていただき、社会人の方と話す経験自体があまりない学生にとっては、就職活動をする上での大きな自信につなげるきっかけになりました。丹青ヒューマネットのみなさんと一緒に相談しながら働き方を決めることができたことはとてもありがたかったですし、障がいのある高校生や大学生は、こんな機会を探しているんじゃないかなと感じます。

私らしい仕事発見プロジェクトは今後もずっと続けていくつもりです。さらに、私のように障がいのある大学生がボランティアやインターンシップに関われるような取り組みを、これから実践できればと思っています。

左:安部さん 右:永田

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