金属建材のリーディングカンパニー菊川工業の加工技術を体験!工場見学レポート
取材・文:堀合俊博 写真:中川良輔 編集:丹青ヒューマネット
公開日:2022/08/19
空間づくりの業界に活躍する人材を送り出している丹青ヒューマネットは、先日デザイナー・施工管理者を対象に社内勉強会を実施しました。
本記事では、勉強会当日の様子をお伝えしていきます。
直接目で見て学び、肌で感じるための社内勉強会
空間づくりの仕事において、コスト管理や品質向上のために加工技術を選択する場面は多々ありますが、実際に工場でどのように加工されているのかを知ることは、デザイナー・施工管理者にとって、より具体的な判断力や提案力の獲得につながります。
今回、派遣会社である私たちが社内勉強会を開催した背景には、丹青ヒューマネットのデザイナー・施工管理者たちに、画面越しに得た情報でなく、実際に目で見て学び、肌で感じたことを仕事に活かしてほしいという想いがありました。
100%オーダーメイドの金属建材メーカー・菊川工業
今回ご協力いただいたのは、金属加工技術のリーディングカンパニーである菊川工業株式会社。
1933年の創業以来、100%オーダーメイドによる高品質な金属内外装製品を世に送り出し続けている同社は、お台場のフジテレビ本社ビル球体展望台のチタンパネルや、水戸芸術館のシンボルタワー「塔」のチタンパネル、近年ではすみだ北斎館の外装パネルなど、建築物における外装および内装の金属建材を手がけてきました。
デザイナーや建築家からのオーダーに対する柔軟な対応力はもちろん、光沢や色調、質感といった表現技術の高さによって、世界中の建築物における金属の「美しさ」を追求しています。
(左上)フジテレビ本社ビル球体展望台のチタンパネル
(左下)すみだ北斎美術館の外装パネル
(右)水戸芸術館シンボルタワー「塔」のチタンパネル
見学場所となったのは、千葉県白井市にある菊川工業の工場「キクカワテクノプラザ」。
敷地内には、設計から製造、施工まで一貫した生産体制を持つ同社のファクトリー棟をはじめ、これまでに手がけられた数々のモックアップが屋外に並び、加工や仕上げのサンプルが展示された体験型のショールーム「STUDIO K+」がオフィス棟1階に設置されています。
今回の勉強会では、同社のファクトリー棟内の工場およびショールームにて、菊川工業が誇るさまざまな金属加工技術を解説いただきました。
巨大加工機が並ぶ工場内を見学
メインの見学場所となったのは、同社工場内の「機械部門」および「組み立て部門」。ワンストップソリューションを提供する同社の心臓部であり、加工機がずらりと並んだ空間では、職人の方々が黙々と作業を続けています。
近年は3D CADの普及によって、角度などの情報がデータで管理され、均一に仕上げることができます。
加工体験ができるショールーム「STUDIO K +」
オフィス棟内1階のショールーム「STUDIO K +」では、菊川工業がこれまで手がけてきた事例やサンプルの数々が展示され、奥には金属加工が体験できるコーナーも設けられています。
「金属加工を通して、建築家・デザイナーとともに挑戦を続けていきたい」
菊川工業で広報を担当している渡邉さんに、普段のお仕事や金属素材の魅力についてお聞きしました。
——建築家やデザイナーからオーダーを受ける中で、意識していることはありますか?
スケッチやイメージをもとにご相談いただくことが多いので、空間のコンセプトやご要望をディテールまで深掘りすることを意識しています。
社内の職人たちとコミュニケーションをとりながら、建築家やデザイナーの方々が理想とする仕上がりをどのように具現化するのかを考えていくことが、この仕事の難しいところであり、おもしろいところだと感じています。
——どのような反響をもらうことが多いですか?
おかげさまで、製品の仕上がり精度に対してご満足いただくことが多いです。昨今は3D CADの発達により、3次元形状のご依頼も増えてきていますが、そういったご依頼に対応できる設計部が社内にあるので、「菊川さんに頼んでよかったです」とおっしゃっていただけていますね。
中には、プロジェクトが終わった際に、「次はこんなことに挑戦したいです」と、また新しいアイデアをいただくこともあります。
——建材としての金属の魅力は何だと思いますか?
一般的に、金属は固く扱いにくいイメージがあると思いますが、弊社の工場の職人たちの技術をみていると、加工によってさまざまな印象が生まれる、可能性のある素材だと感じています。
見る角度や周りの雰囲気、時間帯によっても表情が変わるので、そういった自由度の高さこそが、金属のおもしろさであり魅力だと思います。
——今後挑戦したいことを教えてください。
弊社は創業時から、さまざまなオーダーにお応えする中で、世界に一つだけのものをつくってきた実績があります。近年は、外装用の大型建材だけではなく、内装およびインテリアにも事業を広げており、1点ものや少量生産のオーダーも受け付けています。
これからも、デザイナーさんや建築家の方々とともに、金属加工を通してさまざまな挑戦を続けていきたいと考えています。
工場見学を終えて
はじめての試みとなった今回の工場見学について、丹青ヒューマネットのデザイナー・R.T.さんと施工管理者・S.U.さんに、参加後の感想をお聞きしました。
——工場見学に参加してみていかがでしたか?
R.T.さん:
とても有意義な時間を過ごすことができました。私は普段大型商業施設の共用部の内装を担当することが多いのですが、あらためて素材としての金属の格好よさを感じることができましたし、今後デザインする際にも活かせる加工技術を学ぶことができました。
このような教育の機会をいただけることはなかなかないので、成長のための場を設けていただけたことがとても嬉しいです。
S.U.さん:
僕も同じ気持ちですね。現場の仕事をしていく中で、加工方法についての話はよく出てくるのですが、こういった工場見学の機会をいただけたことで、具体的には知らなかった実際の加工プロセスを、間近で見ることができました。
今後はお客様からの質問にもよりお答えできますし、学んだことを活かした提案ができると思います。
——今後の工場見学への期待をお聞かせください。
R.T.
最近はDLTといった新しい木素材が出てきているので、そういった加工技術を持つメーカーの見学ができるといいなと思います。普段デザインしている中で、選択肢となる加工技術についての知識不足を感じているので、工場や技術者の方々とお話しできる機会をいただけると嬉しいですね。
S.U.さん:
僕はホテルの施工現場に関わることが多いので、家具の工場見学ができるといいですね。実際に施工性などを自分の目で見て学ぶことで、現場でお話しできることが変わってくるので、これからも楽しみにしたいと思っています。
株式会社丹青ヒューマネットは、「働く人を応援し、幸せになる」をミッションとし、建築・インテイリア業界へ人材を輩出しています。人材のことで課題をお持ちの企業様、新しい働き方をお探しの方はこちらへご連絡ください。