約1/6の広さのオフィスに移転したことから見えてきたもの/丹青ヒューマネット
移転直後の新オフィス
文:吉岡奈穂 取材・編集:石畑和恵 岩崎美紀(丹青ヒューマネット)
公開日:2021/6/4
約1/6の広さのオフィスに移転したことから見えてきたもの
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてテレワークが一気に普及。自宅での仕事やオンラインでの打ち合わせが当たり前のものになりました。
空間づくりのリーディングカンパニーである丹青社のグループ会社として、人材派遣や人材紹介の事業を行っているわたしたち「丹青ヒューマネット」も出社の機会を意識的に激減させました。
そんな背景を踏まえて、2020年9月に138.86m²から20.88m²へのオフィスへと移転。
移転のために準備したことから、その後の変化までを率直にリポートします。
--PROFILE
今村浩 :2020年丹青ヒューマネット取締役常務就任。
永田博美:2007年丹青ヒューマネット入社。2016年管理部長就任。
出社頻度を減らしてテレワークへ
——オフィスを移転したきっかけは何ですか?
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワークが中心になったことがきっかけです。
「混雑する時間帯に通勤しないことはもちろん、そもそも出社頻度を減らすことが大切だ」という社長の旗降りで、もともと東京オリンピックに向けて進めていた在宅勤務制度の整備を加速化し、オフィスの面積を縮小することにしました。
オフィス移転のコンセプトは、「身軽化プロジェクト」
——新しいオフィスはどんな基準で選びましたか
月々の家賃を最大限に抑えて、労働者派遣事業で定められている20m²以上という面積をクリアすることを最優先に選びました。
次にロケーションです。駅から近くて、スタッフが立ち寄りやすいことや親会社の丹青社がある品川へもアクセスしやすいことを前提に、丸ノ内、日比谷、新橋と下見をして、現在の神田に決めました。
ちなみに内覧したのはシェアオフィスのみです。「身軽化プロジェクト」というコンセプトを掲げていたので、内装やネットワーク構築をゼロからやるのではなく、入るだけで完了!な場所に候補を絞っていました。
新しい事務所へ移るための作業と、古い事務所を引き払うための作業を同時進行で
——移転の準備はどんなことをされましたか?
移転を決めたのが2020年5月で、実際に移転したのが9月。4ヶ月の間にはたくさんのことを同時進行で行いました。
大きく分けると「新しい事務所へ移るための作業」と「古い事務所を引き払うための作業」ですね。書類作業もたくさんあります。
主なものはページ下部にあるチェックリストに記載していますので、参考にしていただければと思います。
大変だったのは、支払家賃の重複を避けるためにスピーディに対応することと、138.86m²から20.88m²へとコンパクトな場所に移転するため、捨てるものと残すものを見極めることです。
大量に保管されている書類を電子化してクラウド保管させる作業など、社員一同が力を合わせ、それぞれが得意分野を活かして行ったという感じです。
ペーパーレスが基本。保管義務のあるものは倉庫も活用
——書類や荷物の整理の仕方について教えてください。
書類はセキュリティが高いクラウド保管サービスを使いました。スタッフの情報はそこに上げて、原本として保管義務のある書類以外はすべて廃棄しました。
保管の義務はあるけれどすぐに使わないものについては外部の倉庫サービスを利用しています。
個人の机のものは各自8割くらい捨てた印象です。これは自宅の断捨離と同じですが(いつか使うかも?)と思って取っておいたものは、結局使わなかったりするのでバンバン捨てて。
紙類は意識しないとすぐに溜まっていくので、いまでも毎日シュレッダーにかけて極力積み上げないようにしています。
大きなもので言うと机や椅子は売却したり、売却できなかったパーティションは産業廃棄物として処分したりですね。減価償却しきれてないものは、その瞬間は損失を感じるかもしれませんが、そこは長い目で考えました。
テレワーク率80〜85%の実現により、QOLが向上
——移転したメリットは感じていますか?
感じています。いま弊社本部スタッフのテレワーク率が80〜85%なのですが、通勤の時間がなくなったぶん、家族と過ごす時間や趣味の時間が増えたという人が多いです。以前よりも家事や子育てにゆとりが持てるようになったという実感もあります。
オンラインでの会議や面談が当たり前になって、距離の制約がなくなったことも大きいです。
押印が必要な書類作業があったり、直接コミュニケーションを取りたかったりというときには適宜出社もしますし、オフィスルーム以外にもフリースペースや会議室、コーヒーコーナーなどがあるので、問題なく働けていると思います。
あとは固定費を半分にできたことで、新しいメンバーを採用することができたのもとても大きなことでした。
働き方のグラデーションにどう向き合っていくか
——デメリットもあるのでしょうか?
6席に対して本部スタッフが12人であることから、必然的にテレワーク環境になったため、オン・オフの切り替えが難しくなったという側面はあります。
PCを開くだけで永遠に仕事ができてしまうので、時間管理についてはいままで以上にそれぞれが意識しなければなりません。
また、口頭ベースで済んでいたこともテキストに落として共有しなければならず、そういう意味では作業が増えてしまった人もいます。
フルタイムで出勤する人から、1ヶ月ほぼ在宅という人まで、働き方にグラデーションが生まれた1年だったので、全員が働きやすいように仕事方法を見直していくことは必須だと思います。
特に新入社員には厳しい環境です。先輩の対応を横で見ながら仕事を覚えていくというスタイルは過去のものとして、上にいる人こそが変わっていかないとならないことを実感しました。
オンラインでも気軽に話せるムードづくり
——コミュニケーションを補うような工夫はされていますか?
まずはテレワークに移行したタイミングで、社内SNSを導入しました。普通の業務メールは仕事にまつわることを送り合いますが、社内SNSは「これからテレワーク入ります!」とか「週末どこそこに行きました!」みたいなつぶやきがOKな場所です。
毎週オンラインで行う営業会議も突然業務連絡から始めるのではなく、最初の5〜10分は雑談タイムにしたり。あと2020年は忘年会も中止になったので、zoomで1年を振り返るといった会を催して気持ちをひとつにしたり(笑)。
これまでと違うコミュニケーションの取り方を工夫した1年となりました。
社会が変わるとき、会社も変わるのは必然のこと
——オフィス移転を経て、見えてきたことはありますか?
通勤しなくても仕事ができることが証明されたので、次は生産性の向上に目を向けて、わたしたちでなければできない仕事に注力し、かつ個々のライフワークバランスを充実させたいと思います。
また従来の人材派遣会社にとらわれない挑戦もどんどんしていかなければならないと思っています。
オフィスを1/6までコンパクトにしたこともそのひとつですが、これだけ社会が大きく変わったのだから、会社も変わらないと生き抜けるはずがないです。
会社のミッションは「働く人を応援し、幸せになる」なので、ここに向けてトライ&エラーを繰り返し、みんなで進んで行きたいです。
・法務局
・税務署都道府県税事務所
・健康保険組合年金事務所など
他には…
・移転スケジュールの立案、及び概算費用算出
・引越し業者の選定
・電話・FAX新設・解約手配や、複合機移設の連絡など
・具体的なレイアウトプラン作成
・新規什器備品の購入検討
・移転案内(社内外)
・HP変更
・新住所の名刺・封筒・住所印などの手配
> チェックリストのダウンロードはこちら
——オフィス移転を通して
緊急事態宣言がこの1年間でも3回という中、移転して良かったと思っています。
移転前から、業務の効率化や簡素化を目指していたここともあり、派遣事業を主としている当社では、登録面談のWEB化の準備は進めていました。コロナ禍で一気に加速し、全てオンライン面談に変更しました。
全国の応募者の方との面談、新卒採用のオンライン説明会と採用面談、そして在籍しているスタッフの方とのコミュニケーションも実施して移動距離と時間価値はぐっと高まりました。
会社に行くということ、リアルで会うことの意味合いなど業務の中での区別もできるようになったのではないかと評価しています。働き方改革も同時に目指している私たちとしては、移転をきっかけに、仕事の伝達やデータのやりとりなど工夫も生まれました。
とはいえ、リアルでの良さも反面あるのは事実です、アフターコロナを見据え、私たちができることを進めていきたいと考えます。
株式会社丹青ヒューマネット
石畑 和恵
株式会社丹青ヒューマネットは、「働く人を応援し、幸せになる」をミッションとし、建築・インテイリア業界へ人材を輩出しています。人材のことで課題をお持ちの企業様、新しい働き方をお探しの方はこちらへご連絡ください。