【掲載情報】「デザインのお仕事」に弊社社員のインタビューが掲載されました
アトリエ系事務所からディスプレイ業界へ。
丹青ヒューマネットで、派遣のデザイナーとして働くこと
働き方もデザインする人の求人サイト「デザインのお仕事」の特集コンテンツに弊社社員のインタビューが掲載されましたので、ご紹介いたします。
以下、「デザインのお仕事」からの引用です。
「デザインのお仕事」公開日:2020/01/22
働き方インタビュー
丹青ヒューマネットは、総合ディスプレイ業界のリーディングカンパニーである丹青社のグループ会社として、空間の設計・施工に関わる仕事を中心に人材派遣を行なっている。丹青社をはじめとする派遣先にてさまざまなプロジェクトに関わることができるのが同社の大きな特徴である。
若手人材を積極的に正社員として採⽤するほか、働き方によって勤務形態や勤務日数などを相談できるなど、会社がスタッフに寄り添い、働き方に合わせた雇用を実施している。
丹青ヒューマネットの正社員となったスタッフは日々どのような働き方をしているのか。派遣先の丹⻘社にてデザイナーとして働く⼭⽥健太朗さんに、お話をうかがった。
“アトリエ系”勤務、フリーランスを経て、派遣のデザイナーに
——これまでの経歴について聞かせてください。
山田健太朗さん(以下、山田):現在は丹青ヒューマネットの正社員として、派遣先である株式会社丹青社でデザイナーとして働いています。
大学では建築学科を専攻し、意匠系の研究室では意匠設計の理論や、都市計画、地方活性化、コンパクトシティなどの研究をしていました。
学部2年の時、九州建築旅行に行き、槇文彦さんや葉祥栄さん、高崎正治さんの建築に触れたことや、自分の大学で開催されたデザインレビューという卒業設計コンクールをきっかけに、建築の道に進もうとはっきりと決意しました。
山田健太朗
卒業後は平田晃久建築設計事務所に入社し、その後、塚田修大建築設計事務所を経て、計6年間アトリエ系建築事務所を経験しました。
建築設計事務所ではさまざまな案件を担当させていただきました。住宅が多かったのですが、ほかにも展覧会の会場設計や鉄工所のオフィス、倉庫など多岐にわたります。
山田さんの卒業制作の作品。
地元・大分県の佐伯市に残る城壁を題材に、城壁を利用した市民のセカンドプレイスをつくるというコンセプト。
高密度に積層したキューブの1つ1つは中が居住空間になっており、プライベートは確保されながらも、街のシンボル的な場所に集まることで相対的な共同体意識が生まれる空間を提案している。
鉄工所のオフィス設計。
「せっかくなら鉄のショールームのようなオフィスに」という要望から、天井に鉄板を使用。この四角錐状に垂れ下がる天井により、均質になりがちなオフィスというプログラムに変質性をつくりだしただけでなく、張弦効果のある折板構造や、天井に冷気・暖気を送り込むことで生まれる断熱効果、輻射効果など構造的、設備的な合理性も獲得している。(撮影:坂下智広)
西東京市の住宅。
郊外の戸建てとして一般的な塀、塀の中に庭、部屋という構成を3層積み重ね、それぞれの階における床と地面、塀の高さの関係を変えることで周辺との関係を調整している。(撮影:坂下智広)
——設計事務所での印象的な仕事について教えてください。
山田:塚田事務所での仕事で、16平米程度の塗料を保管する危険物貯蔵庫の設計を担当したのですが、実験的かつ挑戦的なことができたと思います。
危険物貯蔵庫は、コンクリートブロックやRC造などで壁をつくり、天井は軽くしておき、万が一引火して爆発した時は屋根だけ飛ばして安全は担保するというのが基本的な考え方です。
それに則り、コンクリートブロックを使いつつ新しい試みをしてみようと、組積造として成立するぎりぎりの幅で十字の柱をつくりました。そうすると、壁は構造耐力を負担しない帳壁となります。
通常閉鎖的になりがちな組積造においてオープンで自由な平面を獲得できる術(すべ)として、今後発展性のあるプロジェクトとなりました。
山田さんの設計担当による危険物貯蔵庫(撮影:坂下智広)
意匠的合理性と構造的合理性の双方を担保するというのは、アトリエ系建築事務所で学んだ大きなことの一つです。
言わずもがな建築は構造から逃げることはできないので、意匠表現を下支えするための構造でもなく、構造表現主義でもない、双方が同時に存在できるような建築をつくることを僕も意識しています。
フリーランスとして手がけた日本橋にある蕎麦屋の改装。
古材を使いたいという要望から、梁として使用されていた250〜300cm角の古材を通常よりも低い位置に架け直すことで、単なる化粧的な使い方のみならず、カウンター・ベンチ等家具としての機能を負担させている。
事務所に勤務しながらも個人の仕事依頼も徐々に増えてきて、そちらに集中しようかなと考えはじめた時期に、ちょうどプロジェクトの区切りもよかったため、退社を決めました。また、3.11や新国立競技場の一件もあり、建築業界全体に虚しさややるせなさを感じていて、僕自身業界に対して静観している状態だったというのもあります。
3.11以降、伊東豊雄さんが「みんなの家」を通してもうラディカルな建築は必要ないといったことを提言されていた記憶があるのですが、それには賛否あり、僕自身もそのことについて考えていたんです。それが頭の隅に残っていて、これから建築に関わり続ける中でどうすればいいのかと、自分の中で一度考え直す必要があったんだと思います。
ある時、普段あまり見ていなかった雑誌『商店建築』を手に取ると、停滞気味の建築にはないようなとても野心的かつ実験的な物件をディスプレイ業界がつくっていて、この業界はいまどんなことが起きているんだろうと関心を持ちはじめました。ちょうど大学の研究室時代に尊敬していた先輩がディスプレイ業界にいたこともあり、個人の仕事も受けながらよりよい働き方について周りの方に相談に乗っていただき、結果として丹青ヒューマネットに入ることになりました。
ディスプレイ業界を通して感じた、社会と建築との関わり
山田:僕は丹青ヒューマネットの正社員として、派遣先である丹青社で働いていますが、プロジェクトのやりがいがある部分を任せてもらっています。上司がオープンマインドな方なので、どんどん挑戦させてもらっていますね。
関わっているプロジェクトはさまざまですが、僕としてはデジタルテクノロジーを使ったアートミュージアムと、それと相反するような建築的思考に基づいて設計できている観光インフォメーション施設の改修を同じ組織で行えていることの振り幅がおもしろいと思っていて、建築かディスプレイかという二者択一ではないようなプロジェクトに関われていることが、丹青社における最大のメリットだと感じています。
アナログな建築畑にいた身分としては、いままではデジタルアートなどにあまり触れる機会がなかったのですが、関わらせていただく中で、空間においてアナログとデジタルを架橋することは、単に新しいというだけでなく、こんなにも情報の鮮度が高くなるのかと感銘を受けました。
誤解を恐れずに言いますが、ディスプレイはよくも悪くも木目調などのいわゆるフェイク仕上げ材にアレルギーがないひとが多い印象です。それはつまり、木仕上げは木っぽいという表層の情報伝達スピードが重要なのであって、それが木目調のシートやプロジェクションによる木目の投影のようなある種素材の重量を感じない無重力な空間でも問題ないということなのだと思います。
一方で、少なくとも僕がいた建築界隈は無垢材至上主義みたいなところもあり、フェイク材を使うとしてもそれは消極的であったりシニカルな手法であったりすることが多いです。建築はフィジカルであり各素材の重さ、つまり重力が重要視されます。そして、歴史性や場所性を重んじるがゆえにあらゆるスピードは遅いのですが、その速度感だからこそ積み重ねで「文化」が醸成されているのだと思います。
その点ディスプレイ業界は、あらゆるスピードが速いためにダイレクトに社会のニーズに直結することで「社会」をつくれている気がします。建築業界で叫ばれて久しい「社会性」というキーワードに対して、ディスプレイ業界で学ぶことはとても多いと感じました。
建築もディスプレイも領域こそ異なりますが、その垣根はいまの時代それほど重要ではないのではと感じています。僕自身もそうでしたが、東京の若手建築家は、設計の依頼が来てもどのような意義、モチベーションでつくればよいかわからないひとが多いのではないかなと感じています。その時に、固定概念を崩して、ディスプレイ業界をのぞいてみるとか、他の業界へと視野を広げることはとても有用ではないでしょうか。
——今後の展望について聞かせてください。
山田:幸いなことにいまは仕事で忙しく、日々いろいろな気づきも与えてもらえていますし、インプットとアウトプットのいいバランスができているので、しばらくは続けていきたいと思っています。将来的には、自分の設計事務所は持ちたいという思いは以前から変わりありません。
この会社に入ってから、つくることに対して熱量があるひとにとっては、とことんやらせてもらえる環境がとても大事だなと思いました。働き方改革も重要なことだとは思いますが、一方でクリエイティブな仕事では、自分が納得いくまで悶々と考え続ける時間も必要と言いますか、単純に時間換算できない側面もあると思うので、そこはバランスが大切だなと思います。
学生時代に雑誌『新建築』で、伊東豊雄さんが寄稿した「消費の海に浸らずして新しい建築はない」という論考を読んだのですが、とても影響を受けているというか、ポジティブに感じたりネガティブに感じることもあったりと、何度も振り回されてきたような感じがあるんです。この論考が掲載された当時はバブル期で、あらゆるものが消費される社会の中で、建築家も斜に構えるのではなくて、同時代性を獲得していかないとダメじゃないかという趣旨のものでした。
ただ、この1、2年はとてもポジティブに感じていて、いまこそ再び脚光を浴びるべき論考だと思っています。いまの情報社会もあっという間にあらゆるモノ、情報が消費されていくため、その海で沈まない術を身につけるためのヒントは、建築業界とディスプレイ業界に片足ずつ突っ込んでいるいまのこの状況の中にたくさんあると思っています。
建築のマニアックな部分に閉じこもって消費の海に「入らない」という選択肢でもなく、海に入ったもののディスプレイ業界で社会のスピード感についていけず「溺れる」でもなく、「泳ぎ切る」という意思を持ちながら強度のある建築、空間をつくっていきたいですね。
誰もが存分にちからを発揮するために。丹青ヒューマネットでの多様な働き方
丹青ヒューマネット 石畑和恵
——会社の事業内容について教えてください。
丹青ヒューマネットは、2004年に設立しました。丹青社へのスタッフィングのみならず、現在はディスプレイ業界に特化して、多くの企業へ人材派遣を行なっています。
ディスプレイ業界は人手不足という課題を抱えていて、他の業界と同様に高齢化が進み、30代40代の働き盛りが不足しています。
——丹青ヒューマネットは、人材派遣会社でありながら正社員として働くことができるのが魅力だと思います。
当社では、若い世代の技術職の方は基本的に正社員として雇用し、月給制をとっています。派遣先への交通費の支給はもちろん、退社した時の退職金制度や社会保険などの福利厚生もしっかりと受けられます。
人材派遣会社としては珍しいケースですが、安定した生活で思う存分自分の力を発揮してもらいたいという思いから、会社としてこういった形態での雇用を実施しています。
働き方も社員のライフスタイルやスキル、要望に合わせてさまざまなので、基本の週5日勤務だけではなく、アーティスト活動をしながら週4日勤務の方もいますし、スキルがあれば週3日勤務にするなどの働き方も提案できます。人材と企業が、お互いにいいかたちで子育てなどのライフステージにマッチングすることを目指しています。
派遣先でお互いの条件が合えば、紹介予定派遣も可能です。いつか正社員の雇用を目的としている企業も多いので、半年間の上限がありますが、働いてみて双方の意思が合致すれば就職というかたちになります。当社を通していい会社に巡り合ってもらえたら私たちも嬉しいです。
私たちは、スタッフのみなさんには1年でも2年でも長く楽しく働いてもらうため、登録から派遣先決定まで、本人や企業とじっくり話してお互いが納得して決定することを第一に考えています。そのおかげで、離職者も少ない状況です。長く働く方が多いことで、企業からの信頼を得られていることは当社の自慢です。
現在約150名が在籍していて、その内外国人の方も10名くらい在籍しています。また、これまでは経験者の募集を主にしていましたが、今年から新卒募集もスタートしました。
ディスプレイ業界で働きたい、キャリアを積んで次のステップへ進む糧にしたいなど、これから頑張っていきたいと思っている方をサポートしながら、この業界を盛り上げていけたらと考えています。未経験でなかなか一歩を踏み出せなかった方にとって、挑戦できるきっかけをつくっていきたいです。